エントロピー増大の法則

エントロピー増大の法則(The Law of Entropy Increase)は、熱力学の法則のひとつであり、自然界の現象においてエントロピー(乱雑さや無秩序さの尺度)が常に増加するという原理です。エントロピー増大の法則は、物理学だけでなく、情報理論やシステム理論などの異なる分野でも適用されます。

エントロピーは、物理系や情報系の状態の乱雑さや分散度を表す尺度です。エネルギーが高い集中的な状態から低い均一な状態へと移り変わる過程では、エントロピーは増加します。例えば、温度差のある物体が接触したときに熱が拡散し、温度が均一化する過程では、エントロピーは増加します。また、閉じられた系内の物質やエネルギーが均一に分散されているよりも、特定の領域に集中している状態の方がエントロピーが低いとされます。

エントロピー増大の法則は、自然界における物質やエネルギーの流れや変化に関する基本的な原則として認識されています。この法則によれば、閉じられた系内ではエントロピーが増加し、均衡状態に向かって進行する傾向があります。ただし、エネルギーや物質の入力や外部の力によって系にエネルギーが供給される場合は、一時的にエントロピーが減少することもありますが、全体のエントロピーの増加には寄与します。

エントロピー増大の法則は、自然界の現象の方向性や時間の進行に関連しており、熱力学第二法則の基礎となっています。この法則は、宇宙の大きな構造や生命の進化、社会の変化など様々な領域で応用されています。