フット・イン・ザ・ドア

フット・イン・ザ・ドア(Foot-in-the-Door)とは、心理学やマーケティングの分野で使われる用語で、人々の行動を変化させるための手法の一つです。具体的には、小さな要求や誘いに応じることから始めて、段階的に大きな要求や目的を達成するという方法です。

この手法は、人々の一貫性の原則に基づいています。一貫性の原則とは、人々が自身の言動や意見を一貫させようとする傾向があるという考えです。したがって、小さな要求に応じることで、自分自身が協力的で一貫した人物であるというイメージを持ち、それに続く大きな要求にも同様に応じる傾向が生まれるとされています。

具体的な例としては、マーケティングにおいて、顧客に最初に小さな商品やサービスを購入してもらい、その後により高価な商品やサービスの購入を促すという手法があります。また、募金活動や署名運動などでもフット・イン・ザ・ドアの手法が利用されることがあります。最初に小さな支援や参加を求めることで、その後の大きな支援や参加につなげることが狙いです。

フット・イン・ザ・ドアの効果は、人々の一貫性の原則や認知的不協和の軽減といった心理的なメカニズムに基づいています。小さな要求への応じ方が後続の要求への応じ方に影響を与えるため、マーケティングやパーソナルセールス、社会運動などさまざまな領域で活用されています。